写真左から マリナ・ジュラヴリョヴァさん/ユリア・チェピジコさん

ウクライナの避難民学生がよりよく学べる環境を支援。

『サンタバル』ではこれまでも年1回バルを開催して、病院でクリスマスを過ごす子どもたちや、子ども食堂に通う子どもたちに幸せを届けてきた。今年はさらに戦禍から日本に救いを求めてきた学生にも支援の手を広げた。今回の『サンタバル』ではリストバンドをセット(1000円)で販売、収益は彼らへの生活支援にあてられる。
彼女たちは今どんな想いを抱えて暮らしているのだろう。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、母国で暮らし続けることが難しくなった学生を日本に迎える、ウクライナ学生支援会によって来日したふたりに話を聞いた。

現在、清風情報工科学院で学んでいるユリア・チェピジコさんとマリナ・ジュラヴリョヴァさん。ふたりが日本に興味を持ったきっかけはアニメ。揃って『NARUTO-ナルト-』のファンだという。来日から半年が過ぎ、日本の生活にもずいぶん慣れた。ただ家族や友だちは今も戦禍にいる。
休日には関西の小旅行を楽しんでいるというマリナさん。「週1回は家族と連絡しています。地元キーウは落ち着いているようでとりあえず安心」と言う。「ネットで連絡が取れる状態ですが一時、母の親戚と1ヶ月連絡がつかなくなって心配しました」と東部ドニプロ出身のユリアさん。故郷への現状について語るとき、いろんな思惑が心を駆け巡るのだろう。表情が少しこわばり口数は重くなる。「最近、私が学んでいた学校の近くにミサイルが落とされて。それだけでなく毎日のように学校や病院がなくなっていく。子どもたちは学校に行けない状態が続いています」

語学とともに日本文化も学び、文化の違いに戸惑うこともないと言うが、それでも食材の値段の高さには驚いた。「特に野菜と果物の種類が少ないし、高いですね(笑)」。聞けばふたりとも自宅の庭に、ぶどうやりんご、梅や桃、サクランボなど豊富な木が植えられ、おばあちゃんが丹念に手入れした採れたての果物を食べて育った。それはウクライナではごくふつうの風景。土と木と果物の匂いが立ちのぼる、自然に包まれたふるさとの思い出を語るとき、ようやくふたりの表情がほころんだ。

マリナさんの「早く戦争が終わって平和になって欲しい」の言葉に、ユリアさんも「以前の生活を取り戻したいですね」と応えた。